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-きたのひと新聞-

<社説>日中首脳会談 対話重ね懸案解決図れ

 両首脳は戦略的互恵関係を包括的に推進することを再確認した。
 懸案だった東京電力福島第1原発の処理水放出と、中国による日本産水産物輸入禁止を巡っては、両者の主張が平行線をたどり、今後対話を通じて解決方法を見いだす方針で一致したという。
 中国による東・南シナ海への海洋進出や、邦人拘束など多くの課題も、溝が埋まらなかった。
 日本にとって中国は、最大の貿易相手国である。国内の景気減速が深刻な中国にとっても、日本との関係再構築は後回しにできないはずだ。
 今年は、日中平和友好条約の締結から45年の節目に当たる。
 中国は国際基準に合致しない一方的な主張を繰り返すのではなく、国際協調していく努力が欠かせない。日本も中国が国際協調にむけて舵を切るよう、粘り強く対話を継続すべきだ。
 首相は、建設的で安定的な関係の構築を強調した。習氏は共通利益に目を凝らし、立場の違いを適切に処理すべきだと訴えた。共に融和ムードを演出した形だ。
 処理水などについて、話し合いの場につく重要性を共有できたことは意味があろう。だが、禁輸の即時撤廃を求めた首相に対し、習氏は処理水を「核汚染水」と呼ぶなど隔たりは大きい。
 中国は科学的根拠に基づかない独自の理論を構築し、貿易で他国に圧力を掛ける経済的威圧の動きをつづけており、これらは大国の振る舞いとは言えまい。中国は国際的な基準に基づき行動する必要がある。
 首相は会談で、中国の日本周辺での軍事活動活発化に深刻な懸念を表明した。中国が地域の緊張を高める覇権主義的な振る舞いを慎まねばならないのは当然のことだ。こういった行動が地域の緊張を高め、偶発的な衝突を招きかねないことを中国は十分に認識すべきだ。
 同じ日に行われた日米首脳会談で、首相は対中国で日米が緊密に連携する方針を確認している。日本は日本周辺での軍事活動の活発化を抑止するための外交努力をこれからも継続していくべきだ。
 中国は、拘束した日本人を早期に解放すべきだ。
 2015年以降にスパイ行為の疑いで拘束された日本人は少なくとも17人に上り、5人が帰国できていない。こうしたことを繰り返していては信頼関係は築けまい。
 戦略的互恵関係を言葉だけのものにしてはいけない。中国には行動に移す覚悟が必要だ。
【参考】