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-きたのひと新聞-

歴史的株高と倒産数の増加から考える格差の縮小 東京新聞の社説から

年始から続く株高

今年の年明けから株高傾向が続いており、2月9日には、日経平均が一時37,000円の大台に乗せる局面もありました。

これは、バブル後最高値を更新する高値だということです。バブル後、ということは失われた30年間で最も高くなっているということなのでしょう。

円安やエネルギー価格の高騰、人手不足、高齢化といった環境の中でも企業の業績が好調なのが、株価を押し上げている要因といえましょう。

好調な株価の陰で

株価が好調な陰で、2023年の企業倒産件数は前年比35%と1992年以来の増加率と東京新聞の社説が書いています。

東京新聞は、

倒産増の背景には原材料費高騰やコロナ禍対応で借り入れた実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済、人手不足がある。

原材料費高騰を巡っては、取引先の大企業が価格転嫁に難色を示したため、納入品を十分値上げできない中小の経営が追い込まれるという構図が常態化している。

と書いています。

確かに倒産件数は2023年は35%増加していますが、2021年、2020年の倒産件数が非常に少なかったことを加味して考える必要があります。

経営が成り立たなくて、本来であれば2020年2021年に倒産してもおかしくなかった企業が、コロナ禍で行われた無利子無担保の貸し付けや各種の補助金によって延命されてきていて、それがなくなった2023年に反動として倒産していると考えることもできるからです。

東京商工リサーチより(https://www.tsr-net.co.jp/news/data_analysis/index.html

倒産データ分析 | 倒産・注目企業情報 | 東京商工リサーチ (tsr-net.co.jp)

そう考えて、商工リサーチのグラフを見てみましょう。

コロナ禍で減っていた倒産数の反動として2023年が増えた、としてみてみると、思いのほか、その反動が大きくないことがわかります。

それだけ、企業業績は力強いのです。

つづけて、東京新聞はこうも書いています。

従業員が簡単に転職できる環境が整っていない中、返済が滞った企業を安易に経営破綻させることは許されない。

同じ社説で、倒産の背景には人手不足と書いているのに、その後に簡単に転職できる環境が整っていないと書けるハートの強さに驚いてしまいました。

しかし、東京新聞は経営難の企業を延命させるべきと社説で書いています。

格差を縮めるために

東京新聞は格差を縮めるために中小企業を破綻させるなと書いています。

それは正しいのでしょうか。

東京新聞が書くように大企業で業績が改善していて、人手不足が深刻で、中小の企業がバンバン倒産しているのであれば、経営難の中小企業から大幅賃上げに動く大企業への転職を促すことが、賃上げに直結しませんか。

中小企業は一般に経営効率が悪く、従業員の給料や待遇が悪いとされています。

であれば、今の人手不足の環境下で、待遇のいい大企業への転職が一番の賃上げになるでしょう。

目的は正しくても、正しい手段を見つけなければ、成果は得られません。

なんでも政府や大企業の責任や政策に頼ろうとするのはいただけません。

 

(参考)

www.tokyo-np.co.jp