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-きたのひと新聞-

ニュースを読んで 日韓スワップ、8年ぶりに再開

 財務省は、12月1日、韓国の中央銀行である韓国銀行との間で、総額100億ドル、3年間の通貨スワップ協定を締結したと発表しました。

www.mof.go.jp

 日韓のスワップは、上限100億ドルのスワップが2015年2月に失効し、その後の9年弱の間、日韓のスワップは存在していませんでした。

 スワップはお互いの国で外貨不足が生じた際に融通しあう互恵関係と思われがちですが、実のところ、日本にはスワップを韓国と結ぶ必要性はなく、実質的には日本から韓国への信用供与に過ぎません。

 日本は、円そのものが国際的な通貨として一定の決済シェアを持っていることにくわえ、アメリカ、イギリス、EU、スイス、カナダと常設の流動性スワップを結んでおり、日本で他国通貨を確保できなくなった時には、このスワップを利用して他国通貨を確保することができることがその理由です。

 その一方、韓国は、貿易に依存した体質にもかかわらず、ウォンは国際的に流通していないため、ウォン相場や外貨準備の変動に対し、非常に脆弱な状況に置かれています。

 韓国は、1997年に起きた韓国通貨危機では外貨不足からG7とIMFによる金融支援を受け、2007年のリーマンショックを契機として再び外貨不足が発生し、日本政府などからスワップによる支援を受けています。GDPで世界10位の国として、このような事態になること自体、きわめて異例です。

 スワップは、日本の貴重な外貨準備から米ドルを韓国に与えることにほかならず、信頼関係が成り立つことが基礎になります。

 自称徴用工問題では、日韓請求権協定に明白に違反した判決が確定し、慰安婦問題では慰安婦合意を履行せず、それに反する判決まで下される韓国との間に信頼が成り立つでしょうか。

 リーマンショック時に支援した際には、韓国政府の大臣が、「日本は出し惜しみをしている気がする。日本側がもう少し譲歩し、配慮すれば早く締結できるのではないか」と話して鮮烈な印象を与えたも、信頼が成り立たない国だという気持ちを抱かせました。

 慰安婦合意を半ば反故にされているにも関わらず、スワップの復活とは、かなりセンスの悪い判断です。当時外相だった岸田首相のユニークさがここにも表れています。

 岸田首相は悪い人ではないと思うのですが、センスの悪さのカタマリ、センスの悪さそのもの、という感じがする今日この頃です。

(参考)

www.nikkei.com