国家は他国の裁判所に裁かれないとする国際法上の「主権免除」原則を認めるかが争点だった。高裁は免除を認めない場合があるとし、一審と逆の判断を示した。
上川陽子外相は「国際法及び両国間の合意に明らかに反するものだ」「極めて遺憾で、断じて受け入れることはできない」「韓国は自らの責任で直ちに国際法違反の状態を是正するために適切な措置を講じることを強く求める」との談話を出し、強く反発している。
当然である。
ある国が他の国の裁判所に自由に裁かれ、その判決に従わなければならないとするのであれば、明らかな主権の侵害である。
さらに、日韓の賠償の問題は1965年の日韓請求権協定で解決済みであり、慰安婦問題を巡っては2015年に双方で最終的な解決を図った日韓合意がある。
尹錫悦(ユンソンニョル)政権下で日韓関係は改善に向かってきたが、このように過去の協定や合意の趣旨を踏みにじり、日本の主権を尊重しない判決が下されること自体が、日韓関係の発展の障害となっていることを韓国は認識すべきである。 尹政権は合意を尊重する立場だとしている。まずは元慰安婦らと対話を進め、合意の精神に立ち返り、国内で解決する必要がある。
主権免除に関しては人権重視の流れを考慮するべきだという主張だが、国際的な解釈とは著しく乖離している。慎重に検討を尽くしたと言えるか、疑問が残る。
尹政権は今年3月、元徴用工を巡る問題で韓国政府傘下の財団が賠償金相当額を支払う解決策を示した。元慰安婦は高齢化が進む。韓国政府は合意の速やかな履行を行う努力を行うべきだ。
(参考)