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-きたのひと新聞-

社説を読んで 赤字ローカル線からマチの将来を考える

公共交通の再編

 耳なじみはないかもしれませんが、改正地域公共交通活性化再生法が施行されました。この法律は、鉄道会社や自治体の要請により、国土交通相が関係者を集めた「再構築協議会」を設置し、3年以内を目安に、鉄道の存続やバスへの転換に向けた方策をまとめ、その実現に必要な費用の半額を国が補助するものです。

 端的にいうと、赤字ローカル線の再編に向け、鉄道事業者と沿線自治体の議論を、国が後押しし、再編のための費用を国が援助する制度です。

 人口減少により、運賃だけで公共交通が維持できなくなった今、議論は進めていかなければならないでしょう。

 しかし、これは、鉄道だけに限らず、いずれはバス、タクシーといった公共交通でも遅かれ早かれ議論が必要になってくると思います。

行政の役割

 これまでの人口が増加する時代では、人手不足は何年か待てば解決し、行政の財源不足も何年かすれば自然と解決する時代でした。

 それがこれからは逆回しになります。何年か経てばどの業界でも人手が足りなくなり、行政の財源不足はますます大きくなっていきます。

 そういう意味で、これからは、何を残し、何をやめるか、毎年毎年選択していかなければならない時代になっていきます。

選択が求められる時代に

 行政の行うもの、特に有形のモノ、ハコモノ、道路、大規模イベントについては、収支が黒字、赤字という視点で語られることが多いですが、行政はそもそも民間ベースでは収支が成り立たないものを、税金で行うためのものです。

 そういう意味で、いまの過度な収支追求型の批判の多さは、目に余るものがあると思っています。

 さて、行政の支出をざっくりとみていくと、よくやり玉に挙がる有形のモノよりも、もっと大きな支出は、無形の福祉にかかる支出です。

 健康保険や年金、生活保護や高齢福祉や障害福祉といったカタチない支出は想像以上に行政の予算の大きな割合を占めています。

 これを少しだけ削減して、公共交通に割り振るという選択肢も存在します。

 たとえば、札幌市では、バス交通に対し、令和4年度に16億円の補助を行っていますが、障害福祉サービスの予算は616億円となっています。

 障害福祉サービスを我慢して3%節約すれば、バス補助を倍増させることができます。

 金額の規模感の例示として挙げただけで、障害福祉を削減すべきとは思っていませんが、これからの時代は、そういった規模感をイメージしながら、どこにどれだけの予算を配分するのがいいのか、選択していく、そういった経営感覚が求められます。

 交通網をはじめ、さまざまな福祉施策も含めて、行政が将来像をイメージして、地域と議論を重ね、地域の実情に応じたハード、ソフト両面の街づくりを考えていく必要があるのでしょうね。

 厳しい時代ですが、乗り越えなければなりません。

(参考)

www.asahi.com