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-きたのひと新聞-

社説を読んで 武器輸出と侵略された国への支援

武器の輸出について

憲法で平和主義の理念を掲げる日本は、武器の輸出を厳しく自制してきました。

その結果、ロシアの侵略を受けるウクライナに対しても、防弾チョッキやヘルメットなど、殺傷能力のないものだけしか支援をすることができていません。

アメリカがパトリオットをはじめとした防空システム、携帯式の対空ミサイル、HIMARSなどのロケット砲やりゅう弾砲、戦車や歩兵戦闘車対戦車ミサイル攻撃ヘリ、対艦ミサイルや沿岸巡視船を支援しています。

第二次大戦を日本と同じ枢軸国側として戦ったドイツにしても、防空システムや戦車といった武器の支援を行っています。

ある程度の安定的な国際秩序のもとで発展し、GDPが世界3位という日本としては、国際秩序に対する挑戦には厳しく対応しなければなりません。

その観点で見ると、支援があまりに少なすぎます。

政府の動き

2022年末に行われた安保3文書の改定を受けて、武器輸出の緩和を検討してきた自民、公明両党の作業チームが、政府への提言案をまとめました。

ポイントは、日本が英国、イタリアと組んで開発する次期戦闘機を念頭に、国際共同開発した武器を、日本から第三国に輸出することを認めるかがポイントでした。

公明が容認という報道も出ましたが、最終的に慎重姿勢に転じ、年内合意は見送られたようです。

共同開発の相手国は第三国に売れるのに、日本だけが輸出できないと、販路が限られ、全体の生産計画に影響しますし、共同開発の枠組み自体にも支障が生じます。

次期戦闘機の共同開発については、近く3カ国の防衛相が会談して、関連条約への署名が予定されていますが、日本の姿勢が定まらないと、共同開発の枠組み作りが遅れ、開発に影響が出ることが想定されます。

兵器は高性能化が進み、費用が高騰するとともに求められる技術も高くなり、もはや一つの国で開発することが困難となっています。

いつまでも原則を変えないと、日本の国防自体が危うくなります。

細かなところに縛られすぎ

議論の中で、輸出できる武器を「救難・輸送・警戒・監視・掃海」に限る「5類型」と限定している制約の見直しも、先送りされました。

戦闘機一つをとっても、任務に応じて様々な用途に使用できます。速度を生かして救難のためにも飛べますし、領空侵犯の警戒・監視活動も日常的に行われています。

机上の議論を繰り返し、時間を浪費する余裕はもはや日本にはありません。

国際共同開発や5類型、殺傷能力のないもの、についての協議はは、年明け以降に再開しますが、現場の視点に立った議論をする必要があります。

さらに、「国際法に違反する侵略を受けている国への支援」については、無制限に支援を行えるようにする必要がある。

 現在はロシアの侵略を受けるウクライナがどのような状態に置かれているか、それを日本だけが、武器輸出の制限があるから支援できませんと放置することが、国際秩序に役立つのか、日本という国に対する信頼を高めるのか、しっかりと判断してもらいたい。

 

(参考)

www.asahi.com