一般ドライバーが自家用車で客を有料で運ぶ「ライドシェア」導入を政府が本格検討している。
ライドシェアは米国や中国などで普及し、スマートフォンでの予約・決済ができて利便性は高い。
運行管理や車両整備など安全への懸念がある一方で、コロナ禍からの回復でタクシー需要が増す大都市や観光地などで期待が高まっている。
背景には深刻な運転手不足がある。運転手は、今年3月で全国は約23万人、道内は約1万1800人とコロナ禍前に比べ2割以上減少した。
そこに外国人観光客や繁華街の人出の増加で一気にタクシー不足が生じた。
タクシー運転手不足は他業種より低い収入水準が要因の1つだが、公共交通として料金の制約があり、収入水準の大幅な向上は見込めない。
自家用車の有償運送は「白タク行為」として法律で原則禁止されており、政府は地域や時間帯を限定した解禁を視野に入れている。規制改革推進会議は作業部会で年内にも報告をまとめるが一部委員は全面解禁を求める。
最大の課題は安全面だ。タクシー会社の管理で普通2種免許を持つ社員が運転するのと違い、ネット登録のドライバーが対応する。
ライドシェア先進地の米国では交通事故のほか暴行事件の被害例もあるという。運転手は個人請負の事業主であり、配車会社の責任がどこまで及ぶか不透明だ。
政府が2006年に開始した「自家用有償旅客運送制度」では過疎地などで例外的に自家用車使用が認められている。