<社説>データセンター誘致 競争力を高めよう
デジタル社会に欠かせない大規模データセンター(DC)の道内拠点化が本格的に動き始めた。
DCはインターネットを通じて大量のデータの処理・保管を担う施設で、人工知能(AI)や自動運転などの進展で重要性が増す。
DCは東京や大阪周辺に8割が集中しているが、既存施設は老朽化が進み、災害や電力不足の恐れもある。一方、道内にはDCが43カ所立地するが、大規模施設は多くない。
通信大手ソフトバンクは苫小牧東部地域に国内最大級DCを計画し、2026年度までに一部を先行整備すると今月発表した。
北海道の強みを生かし、投資を呼び込むため、国や道はインフラ整備も含め詳細な展望を示す必要がある。
消費電力が大きいDCは安価で安定した電力が必要不可欠である。その一方で再生可能エネルギーの利用拡大も求められ、ドイツは27年以降に義務化する方向だ。道内は洋上風力など再生可能エネルギー発電計画が相次ぎ、ソフトバンクはグループで苫東のメガソーラー事業を手掛けている。
だが、再生エネルギーは気象や天候に左右され、安定供給に不安が残る。大規模DC立地が続いた場合には電力不足の不安もある。
鈴木直道知事は3年前から道央圏を中心にDC誘致を進め、昨年11月には「北海道データセンターパーク」構想を打ち出している。だが具体的な青写真や工程表は示していない。
北海道の優位性を生かしてDCを誘致するためには、安価で安定した電力供給が必須である。再生エネルギーと原子力発電のベストミックスにより、原発の稼働している地域との競争に打ち勝てるようよう、知事には指導力の発揮が求められている。
(参考)