こども未来戦略 センスがいまいちなんだよな…
少子化対策をまとめた「こども未来戦略」の素案が公開
政府は少子化対策をもりこんだ「こども未来戦略」の素案を公表し、年内に決定を行うことになりました。
児童手当の所得制限の撤廃や対象年齢を中学生から18歳まで引き上げることや児童扶養手当の支給要件の緩和や育児休業の際の給付金の給付率の引き上げが盛り込まれています。
そして、たびたびニュースになった、3人以上の子どもを扶養する世帯の大学授業料の無償化も盛り込まれました。
異次元?
異次元の少子化対策と言っていたにもかかわらず、出てきたものはいまいちな感じが否めません。
児童手当や児童扶養手当は条件の緩和で根本的な支給額の引き上げは行われませんでした。
経済的な困難さから結婚出産に慎重な若者にどれだけ効果があるのか、疑問です。
大学授業料の無償化については、少子化で大学の定員が過剰となる中で行えば、教育機関としての魅力に乏しい大学の存続に手を貸すだけで、教育内容の充実による生き残り競争を阻害してしまいます。
そういう意味で、異次元、といった看板に比べて、内容は貧弱です。
腰が引けすぎ
内容が乏しく、効果も限定的ですが、なにかをやるためにはお金がかかります。
素案に盛り込んだ内容で年間3兆6千億円の費用が掛かるそうです。
これを医療保険料からの支援金や社会保障の歳出改革で捻出し、実質的な負担増は行わない方針のようです。
政府はこれまでも医療や介護で所得の高い高齢者の窓口負担や利用料の「3割負担」を拡大するといってきましたが、慎重論がでるたびに腰砕けで実現できていません。
若者はこういった、収入がある、収入がなくても資産がある高齢者を優遇して、医療介護年金の改革をやらない姿勢に不信感を抱いています。
国保や社保を払っても、その大半は高齢者の医療費や後期高齢者医療制度の支援金に使われ、払っている年金は今の高齢者の年金になって、自分のときにはどうなるか不安。
安月給から税金を支払い、保育園代を払ってなんとか暮らしているのに、下手すると親世代の年金のほうが現役世代の自分たちよりも高い、といった環境では子どもを持とうという気持ちになりづらいです。
異次元というくらいなら
時間がたつにつれて、出産のできる若者はどんどん減っていきます。異次元と言い出すのであれば、高齢者には我慢してもらう、その我慢した分は、孫世代に全部まわします、くらいのことはやってほしい。
政治家に一番望むのはよく聞く耳ではありません。時代の流れをちゃんと見て、決断することです。
高齢者がこれだけ増えると、高齢者=弱者という図式はもう通用しません。
収入、資産のある高齢者からそれのない若者への積極的な再配分をしないとこの先は世の中が回りません。
そういったパラダイムを変えるような決断を岸田首相には期待しています。
(参考)