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-きたのひと新聞-

政治資金不正事件から見る政治家の自浄作用とメディアのチカラ

政治資金不正事件

自民党政治資金パーティーをめぐる裏金事件、収入不記載事件で、東京地検特捜部は安倍派、二階派、岸田派の派閥の会計責任者らを政治資金規正法違反で起訴しました。

安倍派の議員も刑事訴追されましたが、その一方で、刑事告発を受けていた安倍派幹部の立件は見送られました。

それは、政治資金収支報告書の提出義務を課しているのは会計責任者で、議員は共謀の証拠がない限り罪は問われないという政治資金規正法のつくりによるものです。

会計責任者などの関係者が共謀の事実を否定すれば、議員が罪に問われることはないという仕組みとなっていて、共謀や指示が口頭で行われれば証拠は残らないので、捜査によって政治家を立件するためには高い壁があります。

自民党の刷新本部

自民党では、これらの事件を受けて、政治刷新本部を設置して、改革に向けた提案を打ち出すことにしていました。

メンバーは、岸田首相を本部長として、最高顧問に総理経験者の麻生さん、菅さんを置くという重量的なメンバー構成になっています。

個人的には、小泉進次郎幹事がいることで、いい意味で空気を読まない提案が出されるのではないかと期待していました。

1月23日に出された中間報告では、夏冬に配られる氷代、餅代を廃止し、派閥は政策集団に衣替えし、政策集団による政治資金パーティは禁止するという方向性が打ち出されました。

ハッキリ言ってがっかりしました。

政治資金規正法の穴を突く形で、自由に使える裏金が作られて、どう使われたかが一切チェックされないこと、そしてそれが発覚しても、記載の訂正で済んだり、会計責任者の責任だけが問われて政治家自身に責任が及ばないことが今回の事件を発生させました。

そのため、その穴を直接埋める改革案が求められていたのに、そこに踏み込まない提案は提案の名前に値しません。

メディアのチカラがずいぶんと低下してきた?

個人的な感触ですが、1988年に発覚したリクルート事件よりも追及の熱意が低いように感じます。

リクルート事件は戦後最悪と呼ばれた汚職事件で、平成の政治改革がこれを契機として行われました。

この時のメディア、世間の熱量と比べると、世間の関心がいまいち高まっていないように感じます。

リクルート事件は、金額も億単位で民間企業からワイロとして政治家に渡っていたところが大きな問題でした。

今回は、不正な裏金を作ったということは断罪に値するとはいえ、自民党や派閥を支援しようというパーティー券の代金が原資となっていること、金額も数千万円単位というところが違いなのかと考えています。

さらに、当時は、新聞もテレビニュースも捜査の進展を逐一報道していて、世間の関心は否応なくリクルート問題に向けられていましたが、今は様々なメディア、SNSがあって、一つのテーマに関心を集中させるのが難しくなっているのかもしれません。

そういう意味では、自民党が政治刷新本部で自浄作用を発揮できないのであて場、世論を喚起するメディアのチカラが試されることになると思っています。