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-きたのひと新聞-

札幌市の敬老パスの見直し

札幌市の70歳以上の市民を対象とした公共交通の敬老パスの見直しが公表されました。

利用額によって自己負担は変わりますが、最小の区分では、1,000円を自己負担すれば9,000円を市が負担してバスや地下鉄を10,000円使え、最大で17,000円の自己負担で53,000円が市が負担して70,000円利用できる優待制度です。

自己負担を率で見てみると、10%~25%弱となり、それ以外を市が負担して成り立っている制度です。

敬老パスは50年前の1974年に無料フリーパスとして開始されましたが、2005年度から一部を自己負担する制度に修正されるなどの経緯を経て、現在の制度となっています。

見直しについて

札幌市は、健康寿命を延ばすという名目のもと、自己負担ゼロで公共交通機関を最大20,000円分利用できる制度に衣替えを図るとして、昨年11月に素案を公開しました。

市の問題意識としては、高齢者のうち6割が敬老パスを利用しておらず、およそ50億円の事業費のうち、1割弱の方にその約半分の24億円が必要となっていて、高齢者全体の制度というよりも一部の方を対象とした制度となっている部分にもあるようです。

70歳以上の地下鉄・バスの優待乗車証“敬老パス”最大5万円以上の優待制度見直しめぐり、利用者から困惑と怒りの声 札幌市(HBCニュース北海道) - Yahoo!ニュース

地元紙北海道新聞はどう報じたか

市が見直しの素案を公開したのは、去年の11月22日ですが、北海道新聞はそれについて事実関係を伝えるのみで、賛否を明らかにしてきませんでしたが、1月18日付社説で意見を表明しました。

<社説>札幌市敬老パス 利用者本位の見直しか:北海道新聞デジタル

タイトルからして”利用者本位”って書いてあるあたり、思いが伝わってきますね。優遇が減らされる利用者の立場に立ったら、なんにもできなくなってしまいます…

高齢者がますます増える時代で同じ仕組みを維持すれば、それだけ事業費は膨らむことは明らかなので、限りある市のリソースをどう配分するか、という高所からの観点があってしかるべきなのに、新聞社という知識・良識のカタマリのようなところが書いたものにしてはお粗末に感じました。

むしろ、これからは、こういう痛みを伴う修正をして、高齢社会を乗り切らなければならないぞと読者に理解を求めるのが、メディアのあるべき姿じゃないかなと思うだけに残念です。

高齢者の皆さんは、現役世代が負担するお金から、年金をもらい、医療費を負担してもらい、介護保険を負担してもらって、生活しています。

少しくらいガマンがあってもいいのではないかと思いました。

ちなみに、札幌市で1年間に生まれる子供は、およそ1万人です。

50億円の事業費があれば、1人あたり50万円を配る事業ができます。

高齢者にリソースを向けるのか、少子高齢化に振り分けるのか、こういったシビアな選択は今後も続いていくんでしょうね。

 

(参考)

www.hokkaido-np.co.jp